1998年に開館した湯河原美術館は、日本画家の夏目漱石と日本画家の竹内清保が残した歴史を持つ修復されたホテルです。
湯河原がすべての時代から知られていた温泉地。この土地を愛した多くの画家と文学者が来ます。
三河克己を含む湯河原美術館では、竹内清保、安井周太郎、湯河原での作品を収集する美術館です。 1998年に老舗館を改装し、「湯河原関連美術館」としてオープンしました。
2006年10月、日本画界の最前線で活躍しているアーティスト画家・平松礼次さんの作品を展示し、店舗を展示した「劇場」と合わせてホール名を変えた「平松麗地ホール」 「湯川原美術館」で再開しました。
美術館に隣接する日本庭園では、自然の山間に桜、新緑、紅葉などの季節の風景を楽しむことができます。また、庭園の池では、平松芸術家がモネ財団に手渡した貴重な「モネの水仙」を募集しています。
良質の芸術作品で、癒しのための時間を過ごしてください。
作品を収蔵:
当館では、湯河原にゆかりのある作品を中心に約380点の作品を収蔵しています。
常設館では、竹内栖鳳、三宅克己等約20点の作品を展示し、3ヶ月ごとに展示替えを行っています。
竹内 栖鳳 「喜雀」 六曲一双屏風 昭和15年(1940)
栖鳳は京都に生まれた日本画家。「東の大観、西の栖鳳」と評され、大観とともに第1回文化勲章を受章しています。
栖鳳が湯河原を訪れたのは、昭和6年頃とされていますが、夏目漱石も逗留した旅館・天野屋を度々を訪れるうち、その敷地内に住居と画室を建て、晩年のほとんどをこの地で過ごしました。
この作品は、栖鳳得意の雀を配した金屏風で、湯河原に長く滞在した記念にと描かれました。
竹内栖鳳 「山海珍賞」 昭和7年(1932)
晩年、栖鳳は魚を題材にした作品を多く描いています。
気候が温暖で山海の幸に恵まれた湯河原に滞在するようになったことも、その理由の一つでしょう。
日常の何気ない食材を、色鮮やかに生き生きと描きあげています。
三宅克己 「相州真鶴港全景」 昭和9年頃
克己は、明治から昭和の始めにかけて水彩画専門の画家として活躍しました。
イギリスの風景画に影響を受けた、写実的な美しい作品を残しています。
後半生を真鶴で過ごし、「南仏のニースに似ている」と愛した港の絵を多く描いています。
矢部友衛 「労働者」
プロレタリア運動を通じてロシア美術を日本に伝え、自らも労働者を多く描いた洋画家。
湯河原には戦中疎開し、「平和署名ー農村から」などの作品を描きました。
富田通雄 「渓流の秋(湯河原万葉公園)」
湯河原町吉浜出身。三宅克己の後を次ぐ、第二世代の水彩画進行運動に関わりました。
銀行に勤める傍ら一水会などに精力的に出品を続け、また講演や執筆活動を通じ、水彩画の普及に努めました。
安井曾太郎 「赤き橋の見える風景」 昭和29年(1954)
旧竹内栖鳳画室に移り住んだ安井が、窓から見下ろして眺めた風景を描いたものです。
画面の左下に見えるのがタイトルの 「赤き橋」ですが、晩秋に描き始めた作品が翌年の初夏にかかり、季節の移り変りとともに、木々の緑に覆い隠されてしまったといいます。
庭園:
美術館に隣接する日本庭園です。 自然溢れる山々に囲まれ、春夏秋冬一年を通して風情のある景観を楽しめます。 平松画伯がモネ財団から譲られた「モネの睡蓮の株」や、不思議な音色を奏でる水琴窟などを見ながら、ゆったりと散策ができます。 展示室内にある展望休憩室からも眺めることができます。
芸術作品とともに、癒しのひとときをお過ごし下さい。
春は、若葉の萌える新緑の世界になり、
夏は、「モネの睡蓮」が可愛い花を咲かせ、
秋は、山いっぱいの木々が赤や黄色に紅葉し、
冬は、湯河原では珍しく雪化粧をまとい、
冬から春にかけ、寒桜の花びらが池に舞い、梅が香しく咲きます。
庭園内は散策もできますので、お気軽にお立ち寄りください。
静かな環境で、ゆっくりと芸術を楽しんでください。