収蔵標本の世界、北海道大学総合博物館

札幌農学校時代からの長い歴史の中で、北海道大学には実に400万点にのぼる標本や資料が蓄積されてきました。北海道大学総合博物館にはこのうち約300万点の標本・資料が保管されており、その一部を公開しています。標本と資料がもつ“訴える力”にご注目ください。

医学標本の世界
医学標本の世界では解剖学的ロウ製皮膚病模型のムラージュを展示しています。

カラー写真の登場により役目を終えたムラージュですが、その作製方法が秘伝であったため、現在では修復も不可能です。医学的にも歴史的にも芸術的にも極めて貴重である皮膚ムラージュをご覧ください。

考古遺物の世界
考古学とは、遺跡から出土した「遺物」と、その土に残された痕跡である「遺構」から人類の過去を復元する学問です。遺跡にその遺物や遺構が残された背景には、何らかの理由があるはずです。推理小説の名探偵のように、考古学者は断片的な証拠をつなぎ合わせてその謎を解き明かそうとしています。

生物標本の世界
北海道大学では、開校以来、植物、海藻、昆虫、魚類、菌類の生物標本を蓄積し、生物分類学者を伝統的に輩出してきました。北大の生物標本を用い、多くの種が記載されてきました。アジア域の種の基本となる貴重なタイプ標本が多く含まれることも、北大の生物標本群の特徴です。

古生物標本の世界
古生物学とは、約38億年という長い歴史のなかに実在していた生物を「化石」という形で発見し、生命の歴史をたどっていく研究です。どのような環境に、どのような生物がすんでいたのか、環境と生物の関連性や生命の神秘を紐解いています。

当館に収蔵されている化石とともに、時間の流れを体感してみてください。

鉱物・岩石標本の世界
地球には人間が介在できない領域が存在し、それが私たちの生活に影響を与えています。特に地球内部の変動は、私たちが生活を営むこの地球表層環境を作り、支え、そして時には激変させてきました。この展示室は、地球の悠遠な時空間に触れていただくために作られました。

環境が持つスケール感を是非ご体感ください。

科学技術史資料の世界
北海道大学の研究・教育の現場で用いられてきた機器や装置、関連する資料の一部をご覧いただきます。

資料群を俯瞰する視点で観覧いただきながら、一つ一つの機器や資料の端々、機器の使われ具合や管理番号のプレートや銘板などにもご注目ください。そしてこの先に何を残すべきかについても思いを巡らせてみてください。

北海道大学総合博物館
北海道大学総合博物館は、国立大学法人北海道大学が設置している博物館である。北海道大学には、130年以上前の札幌農学校時代から収集・保存・研究されてきた400万点にものぼる標本/資料が蓄積されています。その中には、新種の発見・認定の基礎となる貴重なタイプ標本が1万点以上含まれています。

北海道大学における博物館は、札幌農学校時代の1884年(明治17年)に、それまで開拓使が管理・運営していた植物園博物館を譲り受けたことにより発する。なお植物園博物館は現在、北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの管轄下に置かれており、総合博物館とは別組織となっている。

1999年春に開館した北海道大学総合博物館は、こうした北海道大学の多様な研究の伝統を今に伝えるとともに、最先端の研究をさまざまな実物資料や映像で展示・紹介しています。博物館にある「事」たちは、「言」つまり情報とセットになることで、歴史や未来を語ってくれます。

総合博物館は、札幌農学校の開校以来140年に渡る研究成果として生み出された学術標本を良好な状態で集約・管理し、学内外に情報を発信することを目的としている。