佐藤忠良の彫刻、人間の美探求、佐川美術館

佐藤 忠良(さとう ちゅうりょう、1912年7月4日 – 2011年3月30日)は日本の彫刻家。新制作協会彫刻部創立会員。生き生きとした女性像などをブロンズや木彫で表現した。福音館書店版の絵本『おおきなかぶ』の挿絵なども手がけた。桑沢洋子の親友でもあり、教育者として東京造形大学において創立より多数の後進の教育に携わった。女優の佐藤オリヱは娘。

佐藤忠良作品 世界的に高い評価を得ている佐藤忠良氏の70年以上に亘る創作活動を、代表的な『帽子シリーズ』をはじめ、子ども像や頭像作品、晩年のライフワークとなった樹木のデッサンなど様々な作品を通して紹介しています。当館所蔵作品180余点の中からテーマに合わせて、彫刻・素描作品を常時展示しております。
人を見つめ、その一瞬の表情を作品としてきた佐藤忠良のリアリズムの世界をご鑑賞ください。

明治45年、宮城県黒川郡生まれ。彫刻家。少年時代を北海道で過ごし、絵画を学ぶために上京するが、ロダン、マイヨール、デスピオなど新しい生命主義の作品に感銘を覚え彫刻家を志す。東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後、新制作派協会(現新制作)を舞台に活躍。

昭和19年に兵役に招集、終戦後のシベリアでの抑留生活を経て帰還後に制作を再開。その体験から、平凡なごく普通の日常生活の中でほんの一瞬だけ垣間見る「人間の美」を追求した作品を多く手掛ける。

昭和56年には、パリの国立ロダン美術館で日本人初の個展を開催。

その功績により、フランス・アカデミー・デ・ボザールの客員会員に推挙されるなど、国際的にも高い評価を得ている。

佐藤忠良、人間の美しさを探求しつづける

主要所蔵作品
身近な人物たちをモデルにした、生命力みなぎる作風で知られる具象彫刻家・佐藤忠良先生の作品は、躍動感あふれる肉付けと、堅実なフォルムに特徴があります。
作品の主なモチーフには「頭像」「女性像」「子どもの像」などがあります。

佐藤先生がその評価をゆるぎないものにしたのは、シベリア抑留から帰還した直後、1952年に発表した「群馬の人」でした。日本人固有の相貌を表現し人物の生き様・内面の美しさを追求したこの作品は、明治期に西洋からやって来た近代美術の手法を、初めて日本人が日本人の心でもって解釈し創りあげたものとして、多くの批評家の賛辞を集めました。

そして1970年代には「帽子」シリーズに代表される、現代感覚あふれる新境地を開拓。初期から近作まで、作風は徐々に変貌を遂げているものの、根底に流れる熱いヒューマニズムは変わりません。

全国各地の公共空間に設置された野外彫刻の多さからも、佐藤先生の作品への高い支持がうかがえます。

佐川美術館

佐川美術館では、日本を代表する日本画家・平山郁夫先生、彫刻家・佐藤忠良先生、陶芸家・樂吉左衞門先生の作品を収蔵し、各作家の監修による展示空間で作品を常設展示しております。3人の巨匠を一度に鑑賞できるたぐいまれな美術館をお楽しみください。

佐川美術館は、設立母体の佐川急便株式会社が創業40周年記念事業の一環として、 琵琶湖を望む美しい自然に囲まれた近江・守山の地に1998年3月に開館いたしました。 日本画家の平山郁夫氏、彫刻家の佐藤忠良氏、陶芸家の樂吉左衞門氏の作品を中心に展示し、さまざまな文化事業を通じて、芸術・文化の振興と発展に少しでも貢献できればと願っております。 出会いを求めて地域社会をはじめ世界に開かれた美術館を目指しています。

遠くに比叡山・比良山を仰ぎ、目前に琵琶湖をのぞむ風光明媚な地に位置する佐川美術館。

敷地の大部分を占める水庭に浮かぶようにたたずむ3棟の建物は、四季のうつろいのなかで、さまざまな表情を見せます。 自然美との調和にも配慮されたその建築美は多方面で高い評価をいただいています。