日本の再生可能エネルギー

日本の再生可能エネルギーの大部分は水力発電によるものが占めており、設備容量50.03GW、年間発電量91.4TWhである。そのうち、10MW以下の小規模水力は全容量の6%程度を占めていて、コストは1kWhあたり15-100円程度と全体のコストを押し上げているとされる。

地熱発電では世界有数の資源量を持つとされているが、期間やコストがかかるといった問題から、2015年時点で17発電所53万kwの設備容量を有するに留まっている。

太陽光発電では、2015年度末の累積導入量は累計34.15GWで、中国、ドイツに次いで世界で3番目に多くなっている。2004年まで世界最大の設備容量を有していた。2012年7月からは固定価格買い取り制度を開始しており、買取価格1kWhあたり42円(20年間)という設定はその時点で世界でも最も高い水準で、普及への大きなインセンティブになるだろうと報じられている。パネル生産量でも2000年代初頭に世界最多だったが、中国や東南アジアでの生産拡大によりシェアは相対的に低下して2012年時点で6%となっている。

風力発電では、2015年度末の時点で2,012基、3.12GWの設備容量を有する。安定した風の吹くところが少ないという国土特性、環境影響などが普及の妨げになっている。

バイオマス発電では、2011年9月時点で70か所190基の設備があり、さらに14基の石炭との複合発電設備がある。2008年時点では3億2,200万トンの燃料が投入され、効率76%で発電されている。

日本における動き
先進各国の目標に比較して、日本での普及目標量は少なく、長年世界一を保ってきた太陽光発電の年間導入量でもドイツに抜かれるなど、政策の弱さが指摘されてきた。

2008年1月に発表されたクールアース推進構想などを受けて、日本でも温暖化ガスの排出量削減の動きが加速している。2008年6月には福田ビジョンが発表され、2030年までに電力の半分以上を再生可能エネルギーと原子力で供給する目標が示された。「太陽光、風力、水力、バイオマス、未利用のエネルギー」が挙げられている。特に太陽光発電の導入量を40倍に引き上げ、地方におけるバイオマスエネルギーの開発を促進するなどの内容が示されている。これを受けて経済産業省などに於いて普及促進政策の検討が進められた。太陽光発電の普及ペースの急減に対応し、2009年1月、経産省は緊急提言に沿って設備費用の約1割に相当する補助金を開始した(太陽光発電#日本の状況参照)。また2009年2月には環境省によって再生可能エネルギーの普及促進による便益の試算結果が発表された。2030年までに累計25兆円必要だが、累計の経済効果は2020年までに29~30兆円以上、2030年までに58兆~64兆円以上になり、また2020年には60万人の雇用を生み出すと推計されている。普及政策としては固定価格買い取り制度の採用を提案した。

このうち太陽光発電については2009年2月24日、経産省より初期投資の回収年数を10年程度に短縮する助成制度の強化が発表された。当初は2010年からの実施予定であったが、経済危機対策、エネルギー政策、地球温暖化対策の観点から前倒しされ、2009年11月1日から開始された。開始時の余剰電力の買い取り価格は1キロワット時あたり48円、エネファームやエコウィルなどの自家発電装置を他に併設して居る場合は39円であり、設置後10年間は同じ価格で買い取られることとなった。後から新規に設置された設備の買い取り価格は、年々引き下げられている。補助金の効果もあり、日本の太陽電池生産量は拡大を再開し、2010年度は関連産業の規模が1兆円を突破した。関連雇用も、4万人を超えたと見られている。

2009年末からは、全量買い取りの導入、および対象を太陽光発電以外にも拡大することが検討されており、検討状況は経産省の専用サイトで公開されている。こうした拡大によって再生可能エネルギーの普及促進が期待されている。各方面の関係者からのヒアリング等を経て、法案(再生可能エネルギー特別措置法案、再生可能エネルギー買い取り法案)は2011年4月5日に国会に提出され、各党による協議・修正を経て、同年8月23・26日、衆参両議院での全会一致の賛成をもって成立した。買取条件などの制度の詳細はまだ決まっておらず、地域経済振興や産業活性化への期待が集まる一方、電力料金の増加への不満、電力会社による受け入れ拒否の可能性に対する不安の声等も聞かれる。一方で制度の導入をにらみ、これまで対象から漏れていた再生可能エネルギー源の事業化や、新たな市場参入、関連投資の拡大等の動きも見られる。買い取り価格の決定時期は、2012年の年明け早々が予定されている。 なお、2014年6月に経済産業省資源エネルギー庁は、日本の再生可能エネルギーの現状と予測を発表した。

2014年8月、沖縄電力は再生可能エネルギーの供給が電力需要を超える時期が見込まれるため発電設備や送電網に停電などのトラブルを引き起こすとして再生可能エネルギーの新規受入れの中断を発表した。9月25日は九州電力が、30日には四国電力・北海道電力・東北電力の3社が相次いで新規受入れ中断を発表し、再生可能エネルギー事業への新規参入に対して新興電力関連企業に大きな打撃を与えた。経済産業省は政府が推進してきた再生可能エネルギー導入方針に基づく固定価格買い取り制度(FIT)の見通しと設計が甘かったとして制度の抜本的見直しに着手。2014年内に方向性をまとめる予定で、大規模太陽光発電の新規事業者の認定を一時的に停止し、あわせてすでに認定を受けた太陽光発電事業者の新たな発電設備の設置や増設も凍結し、太陽光発電に集中している再生可能エネルギーの供給量を制限するとしている。

日本の水力発電
水力発電は日本の主な再生可能エネルギー源であり、2009年に約50GWの容量(ポンプ付き貯蔵を含む)と69.2TWhの電力を生産し、日本は世界最大の水力発電会社となっている。 日本の水力発電所のほとんどは揚水発電所です。 従来の水力発電所は、2007年現在の総設備容量の約20GWを占めている。

日本の水力潜在能力はほぼ完全に発展していると考えられ、能力増強の機会はほとんどない。 近年、ほぼ独占的に揚水された貯蔵プラントが委託され、従来の水力に比べて汲み上げられた貯蔵能力の比が著しく増加している。 大容量の揚水式水力発電所は、原子力発電所からのエネルギーを貯蔵するために建設されたもので、福島災害が日本の発電の大部分を占めるまで発生した。 2015年時点で、日本は26GWの電力を搭載した世界最大の揚水発電能力を持つ国です。 2011年の原子力発電停止後、近年急速に拡大している太陽光などの再生可能エネルギー源の可変世代のバランスをとるために、揚水発電プラントがますます使用されています。

2011年9月現在、日本には1,198の小さな水力発電所があり、総容量は3,225MWである。 小規模工場は、日本の総水力容量の6.6%を占めた。 残りの容量は、通常は大きなダムに設置された大規模および中規模の水力発電所によって満たされた。 小規模工場からの発電電力量は1キロワット時あたり15-100円と高く、エネルギー源のさらなる開発を妨げていました。

日本の風力発電
日本国内の風力発電(出力10kW以上)の累計導入量は2007年3月時点で約1400基、総設備容量は約168万kWであり、発電量は標準的な原発(100万kW前後)の数分の1である。2007年度は前年度に比べて導入量が半分以下に落ち込んでいる。1基あたりの出力を見ると、2007年度では設備容量1MW以上の機種が大部分を占めるようになった。主要な風力発電会社は、ユーラスエナジーホールディングス(旧トーメンパワーホールディングス)(東京電力と豊田通商の合弁)、日本風力開発、電源開発、エコ・パワー(コスモ石油の子会社)、ガスアンドパワー(大阪ガスの子会社)、クリーンエナジーファクトリーなどである。海外機の独擅場であった2MW以上の大型機については、国産機の開発も進んでいる。風力発電設備の大部分は輸入品であり、2007年度の国産機の割合は設備容量ベースで16%、基数ベースでも23%である。

近年は日本の企業や研究機関により日本の環境に適した風車の開発も活発に行われている。2014年時点で全国に約2000基、発電能力の合計は約250万キロワットとなっている。

洋上風力発電
日本は領海や排他的経済水域などが広いため、洋上での風力発電に期待が向けられている。

また、水深が深い場所のために、独立行政法人海上技術安全研究所やIHIMUなどにおいて、浮体式の基礎を用いる方式も研究されている。沖合いでの洋上風力発電(沖合風力発電)については、電力の陸上への送電が困難であるため、発電した電気で水素を製造し、これを圧縮したり、有機ハイドライドに吸着させる等により輸送することが研究されており、これにより電力変動の問題も解決されることが期待されている。また、科学技術政策研究所では、2002年3月に「深海洋上風力発電を利用するメタノール製造に関する提案」を発表しており、沖ノ鳥島周辺、三陸沖太平洋、北海道北西沖日本海などを有望海域として、日本の全エネルギー需要を賄えるほどの大規模なシステムなどを提唱し、その経済性等の試算を行い、実用化が可能であるとしている。

費用対効果
日本における単純な(温暖化対策費などの費用を含めない)単位発電量あたりの費用は、2001年の時点で10〜24円/kWhとされ、国内でも条件が良ければ実用水準の9~13円/kwhに達する施設もいくつかある。但し、一般的に欧米の風車が2500-5000kwの大口径で効率がいいのに、日本の風車は業者の資金不足や長尺プレード陸上輸送の困難もあって、2013年現在においても400-1500kwの中小口径が多く効率が悪いのと、(円高のため)台風や落雷を想定してない欧州製の風車を購入して、台風や落雷による故障で赤字になった失敗ケースがイメージを悪くしている。

2013年現在、円安政策で火力に対して風力が有利になり、日本の台風や落雷を前提に設計された国産風車が輸入風車に比べて 以前より割安になることで、日本の風力発電は 欧米に対する建設や大口径化の遅れを取り戻す事が期待されている。

2015年度に、日本一の風力発電施設となる見通しの風力発電を手がける、中部電力の設備子会社シーテックと伊賀、津両市出資の第3セクター青山高原ウインドファームの発表によれば、40基で計8万kWの発電能力を有する風力発電用風車と変電所の建設総費用は、約200億円と見込まれている。

日本の太陽光発電
経済産業省資源エネルギー庁によるとメガソーラーは、稼働中のものと建設・計画中のものを合わせて日本国内に80か所程度存在する。内訳は、電力会社のものが約25か所(2012年2月現在)である一方、電力会社以外によるものが約48か所(2011年9月現在)である(なお、電力会社以外によるメガソーラーは調査時点から増加している)。

2010年の調査によると、太陽光発電の設置形態としては、日本と同様に太陽光発電の導入が進んでいる欧米諸国では電力事業用や非住宅用が出力ベースで6 – 9割であるのに対し、日本では電力事業用や非住宅用は2割であり、住宅用の太陽光発電設備が8割と住宅用に特化して市場が発達している。

電力会社各社が作る電気事業連合会は、各電力会社が2020年度までに合計約30地点、14万kWまでメガソーラーを拡大する計画を2008年9月に公表している。2012年1月末時点で25地点、約11万kWについて具体的な導入計画を電力会社各社が明らかにしている。

2012年3月現在、主なメガソーラー計画だけで合計出力は50万kWに迫っていて、この内10万kW程度が2012年から2013年にかけて稼働し始める。2011年3月から2012年3月の1年間に発表された電力会社以外の民間企業の計画の総出力は、前述した電力会社の2020年度までの計画(14万kW)の2倍である。

なお、地区内の公共施設やニュータウンの住宅街区のそれぞれの住宅の屋根に太陽光パネルを設置するプロジェクトにおいて、合計出力が1,000kWを超えるものを地域全体として「メガソーラー」と称する例があるが、通常これはメガソーラーとはみなされない。しかし、例えば1つの工場において、隣接する建物の屋根の太陽光発電設備の出力合計が1,000kWを超えるとメガソーラーとみなされるため、基準は曖昧である。

謳い文句は環境を壊さない自然に優しいと言っているが、雑木林や山林を切り開いて施設を建設している自治体がある。自然を壊さないと言いながら破壊活動をしている矛盾がある。

2005年頃まで、シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機など日本のセル・モジュールメーカーが世界シェアの約半分を占めていたが、その後シェアを失った。中国・台湾系の専業メーカーがIPOで得た資金で設備投資を拡大し、欧州を中心とするメガソーラー市場で一気に成長したためである。2010年の世界トップ25社のうち11社が中国企業であった。また、参入障壁が高いとされてきた国内の住宅用太陽光市場でも外資の参入で日本企業のシェアが低下している。急激に生産能力が増強されたため、供給超過に陥っており、今後淘汰が進む可能性がある。

このような産業構造の変化が起きた原因は、太陽電池セル製造用装置のメーカーがターンキーソリューションとして新興国(特に中国)のメーカーに供給している一貫製造ラインである。これを買えばパネルを生産できるようになり、新規参入しやすくなった。発電効率以外では差別化しにくくなり、加工組立で営業利益を確保できなくなるスマイルカーブ(英語版)化が業界全体で進んでいる。メーカー各社は、提携・合弁・買収によって、より付加価値の高いシステムインテグレーション (SI) や独立発電事業 (IPP, independent power producer) に進出し、生き残ろうとしている。SIは、資金調達、設計・調達・建設 (EPC, Engineering, procurement and construction)、運転・保守 (O&M) などを一括で請け負うサービスで、品質保証や性能保証などで差別化している。特にメガソーラーは一品一様であるため、サービスが創出する付加価値が大きい。

日本における地熱発電
日本における地熱発電の発電量は、2010年段階でおよそ530MW、他の発電を含めた総発電量のわずか0.2%である。これは中規模の原子炉1基分の発電量に相当する。地熱発電が比較的盛んな九州においても、総発電量の2%にすぎない。日本において地熱発電の普及が低迷してきたのは、開発に際する国定公園、国立公園の規制と、温泉地からの反発が主な理由だと言われている(詳細後述)。

それでも日本列島は火山の多い環境のため、日本国内の地熱発電の埋蔵量は多く、約33GW(33,000MW)にもなると見積もられている。燃料の大部分を国外からの輸入に頼る日本としては貴重な国産エネルギーともなりうるため、地熱発電の開発を積極的に進めるべきとの指摘がなされている。

また地熱発電に関わる日系企業の技術は高く、140MWと1基としては世界最大出力の地熱発電プラント(ナ・アワ・プルア地熱発電所-英語版)を富士電機システムズ(現在は富士電機(旧富士電機HD)に吸収合併)、さらにそれを上回る166MWのタービン発電機(テ・ミヒ地熱発電所-英語版)を東芝がニュージーランドに納入するなど、2010年の時点で、富士電機、東芝、三菱重工の日本企業3社が世界の地熱発電設備容量の70%のプラントを供給している。

一方、日本国内の地熱発電に関わる研究は長年冷遇されており、1997年の新エネ法で地熱発電が新エネルギーから除外され、国内での研究がほとんど行われない状態が続いていた。2003年から始まった「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」の対象となる地熱事業は「熱水を著しく減少させないもの」という条件付きで、実質的に蒸気フラッシュ型が認定を受けにくい制度であったことから、日本国内の市場展開も滞り、文字通り2000年代は地熱の「冬の時代」が続いていた2008年にバイナリー発電のみ新エネルギーに復帰し、地熱発電の主要をなすフラッシュ発電の可能性が制度上なくなった。。同年、経済産業省で地熱発電に関する研究会を発足、2010年度には、地熱発電の開発費用に対する補助金を引き上げを検討はしたものの、実現には程遠い状態であった。。2010年には民主党政権の事業仕分けの対象に「地熱開発促進調査事業」と「地熱発電開発事業」が含まれることになり存続そのものが危ぶまれたが、2011年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故により、再生可能エネルギー開発の一環として、地熱発電の新規開発に向けた規制緩和に関心が持たれるようになった。例えば、環境省は同年6月にも地熱発電所設置における二大課題である「国定・国立公園に関わる規制」および「温泉施設に対する影響評価」の見直しを始めた。翌2012年には、地熱発電を含む再生可能エネルギーによる電力の買取価格を、15年間の間1kWあたり42円と決定した。さらに国定・国立公園に関わる規制の緩和も進み、後述する小規模地熱発電の稼働に向け多数調査、計画が始められている。

普及政策
現在用いられている普及政策は、固定枠(quotaまたはRPS)制と固定価格買い取り制度(フィードインタリフ制度、feed-in tariff law、固定価格制度)に大別できる。 温室効果ガスの排出源そのものの競争力を相対的に弱める環境税(炭素税)の導入時は産業界が強く抵抗した。現在は再生可能エネルギー電力系統としてのスマートグリッドが世界的なビジネスとなっている。

現在主要なエネルギー源となっている化石燃料は、中長期でのコスト増大が危惧されている。さらに地球温暖化の抑制は急務となっており、IPCC第4次評価報告書では平均気温の変化を2℃までに抑えるには2050年までに温室効果ガスの排出量を半減する必要があるとされ、第三作業部会報告書において、再生可能エネルギーも重要な緩和技術に位置付けられている。また国際エネルギー機関も、2050年までの排出削減量のうち、再生可能エネルギーで21%を削減するシナリオを示し、普及のための政策的措置が急務であることを訴えている。 その一方で既存の枯渇性エネルギー源には供給安定化などの目的で直接的・間接的に多額の補助金が支出されており、また既に広く普及しているため安価で流通している。これらは再生可能エネルギーを普及させる際の障壁となる。このような障壁を乗り越え、かつ必要な速度で普及させるため、様々な普及政策が用いられている。

なお、こうした普及政策の有効性および必要性は、地球温暖化の抑制策の一環として、スターン報告やIPCC第4次評価報告書でも指摘されている。政策に頼らない自主的努力の限界についても、指摘が為されている。

固定枠制
クォータ (quota) 制とも呼ばれる。これは一定割合以上の再生可能エネルギーの利用を義務づけるものである。特に電力においてはグリーン電力証書 (tradable green certificates) 制度を用いて、環境価値分を他に転売することを可能とする制度である。

導入初期段階においてはある程度の導入促進効果を発揮する。しかし導入の際の投資リスクが高く、また条件の良い限られた案件だけが開発されるなどの欠点が指摘されている。下記の feed-in tariff 制と比較して、長期的にはコストが削減されず、また普及促進効果も劣ることが経験的に知られている。日本のRPS制度もこれに属する。

固定価格買い取り制
フィードインタリフ制とも呼ばれ、再生可能エネルギーの設備を導入した時点で、その設備から供給されるエネルギー(主に電力)の買い上げ価格を、一定期間(たとえば20年間)保証する方式である。固定価格制とも呼ばれる。事業計画が立てやすく、投資リスクが低いため、再生可能エネルギーの普及助成費用を最小限に抑えられる特徴を有する。特に風力発電や太陽光発電など、初期投資が投資額の大部分を占める方式で有効である。電力会社に対し、系統への接続や発生した電力の買い上げ義務を課するのも特徴である。買電価格は導入した時期が遅くなるに従って逓減する。この逓減のペースを普及状況とコスト削減の進捗状況に応じて定期的に調整することで、導入量と助成コストを制御する。この制御性、および制度的な柔軟性が他方式に比べて高く、導入量あたりのコストが最も低く済むことが経験的に知られている。このため現在までに最も実績を上げている手法となっており、世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策として最も一般的な手法となっている。 制度的な柔軟性も高く、下記の炭素税(環境税)のほか、グリーン電力証書や税額控除などの手法とも併用されることが多い。この制度の優位性は多くの公的機関によって認められ、2008年6月にはIEAも固定枠制などの他制度に対する優位性を認めている(固定価格買い取り制度#評価を参照)。

環境税
環境税のうち、温室効果ガスの排出に対して課税するものがあり、これは炭素税とも呼ばれる。再生可能エネルギーの普及策という観点からは、これは化石燃料の競争力を相対的に下げる効果を持つ。上記の固定価格買い取り制度などと併用される場合もある。 海外諸国で既に導入され、多くの国で温室効果ガス排出量削減を実現している(環境税を参照)ことから、導入を検討中の国においても高い効果が期待されている。化石燃料に直接課税するだけでなく、再生可能エネルギー源に対する減免・還付等の財源にする場合もある。固定価格買い取り制度と併用するドイツでは、環境税収の 9割を雇用にかかる人件費抑制(具体的には社会保険料の縮減。残り 1割は環境対策)に用いて、雇用への影響抑制に用いている。 日本でも有効な手段になると考えられており、環境省は得られた税金を地球温暖化対策に用いる(特定財源とする)方式による炭素税導入を提案している。しかし、欧州諸国などに比べて議論は進展しておらず、地方自治体で散発的に導入されるに留まっている。

その他の政策
導入費用に対する補助金、入札 (tender) 制、控除など税制上の優遇措置、低利融資、余剰電力購入 (net metering) などがあり、固定枠制や固定価格買い取り制度と組み合わせて用いられることもある。

日本では電力会社が自主的に余剰電力購入制度を設け、太陽光発電などの導入で成果を挙げてきた。2009年からは、太陽光発電については公的な助成制度となった。また地方自治体が独自の補助制度を設ける場合も多い。