奈良時代~江戸時代までの金工の名品を通し、鋳造・鍛造などの造形技法や鍍金・彫金・七宝などの装飾技法、各時代の造形的な特色をご覧いただきます。

江戸時代には武家に加えて町人の文化が花開き、比較的安定した社会と経済の発展を背景として、金工の分野ではさまざまな生活調度品が制作されました。金・銀・銅・真鍮・鉄などさまざまな材質を用いた、細緻な技巧

彫金(ちょうきん)とは、たがね(鏨)を用いて金属を彫ること意味する。 プラチナ、金、銀、銅、真鍮、鉄、アルミ、錫などの金属を主材料にして作る。 装飾(ジュエリー・アクセサリー)や仏具・家具などの飾り金具などを主に制作するための技術である。

現在、金属を使って製作する物には大まかに分けると3つの分野に分けられる。以下に説明されている「彫金」「鍛金」「鋳金」である。それ以外にも「鍍金(メッキ)」や「宝飾」など分類に使う呼び方はいくつかある。

彫金(ちょうきん) – 鏨やヤスリ等を用いて彫り、意図する形状にしたり表面に模様・図案・文字などを入れる技術。

鍛金(たんきん) – 金槌と金床・鏨・鳥口・鳥打ちなどを用いて金属を意図する形状にする技術。主に刀剣や器物の制作。絞り加工や打出し加工を含む。
鋳金(ちゅうきん) – 土や砂で鋳型を作り、溶かした金属を流し込み作品を作る鋳造技術。指輪などの小物から大きい物は銅像や仏像など。
その他の板金加工 – 切断・曲げ・ろう付けにより箱物などを製作する。

彫金技法
彫金の技法としては、透かし・彫り・打ち出し・象眼などがあり、彫りや象眼はさらにいくつかの種類にわかれる。 また使用する鏨にも用途別のさまざまである。

透かし – 地金を図案に沿って糸鋸や鏨で切り取ったり、彫り抜くこと。
彫り – 鏨を用いて地金を彫り模様や図案・文字を入れる。鏨には毛彫り・片切り鏨などがあり、蹴り鏨などの刻印に近い打ち方をするものなど多くの種類がある。

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打ち出し – 地金の裏から大きく打ち出した後、表から細部を押さえていくことにより、レリーフ様の絵画的なものから置物位のものまで制作可能。
象眼 – 本体の地金に意図する図案の溝を彫り、別の地金を嵌め込む技法。複数の象眼技法があり、本象眼と呼ばれる大きめの地金を嵌め込む方法や地金の表面に細かい目を入れて表面に金箔や金糸を打ち込む布目象眼などがある。

法隆寺献納宝物を代表する作品として著名な竜首水瓶や、鵲尾形柄香炉、海磯鏡など金工作品を展示します。

金銅火焔宝珠形舎利容器 鎌倉時代・13~14世紀. 仏教において荘厳とは、仏身や堂内空間を厳かに飾ることであり、これに用いる装飾具を総称して荘厳具と呼んでいます。ここでは舎利容器のように仏舎利を納める舎利荘厳、密教における道場壇。

梵音具とは仏教儀式の中で打ち鳴らす鳴器のことです。また金剛鈴は、特に密教の修法において振り鳴らされま す。これらの多くは銅を主とする金属によって作られ、金属特有の鋭く澄んだ音が、宗教的雰囲気を高めるのに大きな効果を発揮します。

浜松図真形釜 芦屋 室町時代・15世紀. 茶の湯釜は、日本独自の展開をとげた茶の湯の美術の中でも、重要な道具立てのひとつです。堅牢な鉄を煮沸に用いることは古来行われてきましたが、さらに茶の湯では鉄という材質のもつ鋳肌や色合いに美意識。

東京国立博物館

東京国立博物館は、わが国の総合的な博物館として日本を中心に広く東洋諸地域にわたる文化財を収集・保管して公衆の観覧に供するとともに、これに関連する調査研究および教育普及事業等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存および活用を図ることを目的としています。

平成19年4月1日からは、東京国立博物館の所属する独立行政法人国立博物館と独立行政法人文化財研究所が統合され「独立行政法人国立文化財機構」が発足しました。新法人のもと貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を、より一層効率的かつ効果的に推進していきます。